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北川正恭先生の基調講演概要
私が代表を務めているNPOが州都広島ニュース5号を発行したので紹介します。5号では、道州制シンポジウム(5月9日開催)を特集しています。この度は、マニフェスト型選挙を提唱され、道州制時代の政策リーダーである北川正恭先生に基調講演をいただきました。本来なら難しい内容を大変解りやすく、熱心にお話いただき、多くの皆さまに好評をいただきました。ご講演の概要は以下のとおりです。

北川正恭先生の基調講演概要

●はじめに
このたびは、地方分権という硬い話に、沢山の方が参画いただいています。地方からこの国を変えていく運動をやっている私には、大変感動的なことで、皆さんに敬意を表します。この国を変えるためにと、政令市から立ち上がることは素晴らしいことです。

●北京の蝶々の話
代表が紹介された「北京の蝶々の話」というのは、「一匹の蝶々が飛んでいたら、隣の蝶々がきれいだと思って、自分も飛びたいと飛ぶ。すると一羽が二羽になって、二羽が四羽になって、共感共鳴を呼んで、中国の北京で一羽の蝶々が羽ばたいたら、ニューヨークではハリケーンほどの大きさに変わった」という話です。今日お集まりの皆さんが、「広島から変えようよ」と飛び立てば、中国地方を変えるのはそんなに難しい話ではない。つまり、そういう「気づきの理論」で、皆さんが、他人頼りではなく自分から舞っていただけたら有難い。

●昨日のしがらみを絶て
これまでの「昨日の続きを繰り返す」という日常から、「昨日のしがらみを絶って新しい時代をつくる」という非日常の決断が必要ではないでしょうか。新しい名古屋市長の「河村たかし」さんが、これまで副市長に迎えていた中央の天下り四名を止めた。これは、まさに革命です。そういう決断が、昨日のしがらみを絶ち、今日の新しい価値を作り出していくのです。

●この国の形は官僚主導
我が国は立法・行政・司法の三権が分立してバランスをとっている。国会は国のルールを決める立法府です。しかし、私が国会議員の時に法律を作ったことはありません。法律の九割は官僚がつくります。官僚は行政府に所属しながら、立法府の仕事に関わっています。国会議員が、国民の声を聞いて政治をすることを「政治主導」といい、官僚に導かれて政治をすることを「官僚主導」と呼びます。我が国の政治は、官僚主導なのです。

●水戸黄門を好む国
裁判員制度に反対の人が多いと思います。司法の裁判官は官僚です。官僚の皆さんが我々の生命・財産・死刑や無期など決めてきました。裁判官に頼るのが日本人の好み。その証拠に、8時からやるテレビ番組の水戸黄門、8時45分には必ず「この印籠が目に入らぬか、下々頭が高いぞ」とやる。国民はこの場面を待っています。実は、これは民主主義で言うと全くダメです。本当の民主主義というのは、民の常識において善悪を判断できなければ、冤罪事件や偏った判決が行なわれるかもしれません。慣れ親しんだ裁判は、所詮「官にお任せ」の制度だったのです。

●赤福餅たい紅葉饅頭
「中央への陳情が仕事になる」というのが、我が国の中央集権の凄さです。私も三重県のために赤福餅をどれだけ配ったことか。広島の紅葉饅頭に負けるなと配りまくった。まだ足りなかったら松坂牛になる。それでも足りなかったら裏金を作って官官接待をする。これが政治の実態だった。夕張はそのモデルで、頑張って陳情し沢山の施設ができた。その結果、夕張は353億円の借金を抱え破綻し、市の職員は六割減り、月給も四割減った。

●地方政府とは何か
市長さんと市議会で議決すれば、全て自由に出来ますという「自治行政権」を持って地方政府という。むろん、お金を使いすぎたら破綻する。だから「財政権」を確立し、お金の収支も議会で決める。そして、地方のルールは地方で決める「立法権(条例制定権)」を議会がきちっと行使する。この「自治行政権・財政権・立法権」の三つが揃って初めて地方政府になる。その場合、トップと議会が二元代表のもとで対等でなければいけない。選挙の時に知事と一緒に写真を撮る県議がいるが、執行権者をチェック監視する議員が、自らの権限を放棄しています。互いに緊張感が確立しないと地方政府ではありません。

●議会が学芸会になっている
多くの地方議会では、議員の質問書が前もって調整される「学芸会」が横行している。国はそんな地方議会を見て、「地方政府を任せられない」と言う。だったら皆さん、変えようではありませんか。三重県議会は一問一答形式で本音の議論、本当の質疑を導入しています。もう一つ大事なことは、これまでは議員間同志の議論が無かった。例外は「誰を議長にするか」というときだけ徹夜してでもやる。そのために会派が構成されているのは哀れという他ない。

●議会は立法府になれ
今まで県市で、議員による政策的な条例が制定されたことは殆どゼロ。議会が立法府としての政策立案機能を持つには、市民にもっと情報公開して、市民の声を吸収すること。そして、立案したものを条例化し、市政県政に反映させる。議会が立法府として機能する「真っ当な地方政府」をつくらなければいけない。

●議会基本条例をつくろう
ところで、議会というのは年に四回開かれ、臨時が一回ですと言われます。これは誰が決めたのですか。議会の召集権が議長にはなく、トップのもとにある。これではダメです。いま、議会基本条例が全国で54議会できた。これから500を超えます。三重県では条例で通年議会に変えた。まず、自分たちが議会のルールを決める、そこから広島の政治が変わります。

●国の分権政策は
話題になっている国の直轄事業の負担金。国は紙1枚送ってくるだけで1/3出せという話です。詳しく調べると色々な無駄や間違いが出てきた。その一方で、国に予算を要望するときには分厚い資料を準備させ、これに赤福が付き、官々接待が付いた。国と地方の、不公平な関係を変えない限り、地方政府なんか夢のまた夢。国の出先の地方移管は、官僚の抵抗で中止。国の地方政策はこんな具合です。

●広島市議会から変えよう
国を待つより地方から変えるべし。要は、「我々に変える気があるかどうか」です。道州制は究極の地方分権です。我々に、自立する気持ちが必要なのです。この会のように、官製団体のお仕着せではなく、民間団体で自由に話し合い、出てきた意見を政策に反映させる。そんな政治が行われるとこの国は必ず変わる。この国の形は、地方から変わるのが早道です。

●自分がやらないで誰がやる
州都を実現する会をやっている碓井先生も大変努力されている。まさに、こういう人たちが世の中を変えていくのです。マニフェストを通じて、広島からこの国を変える運動に参加してもらえたら嬉しい。今やらずして何時やるのか。自分がやらずして誰がやるのか。皆が蝶々になって輪を広げたら、あっという間に広島が変わります。今回の衆院選挙は歴史に残る政権選択。政策マニフェストによる天下の選択です。そこで「本物の地方分権」を見抜いてください。この選挙を「情実お願い選挙」から「政策で選ぶ約束の選挙」へと変えることが、「州都広島の実現」への近道です。広島に期待して話を終わります。
以上

<北川正恭先生の略歴>
1944年生まれ、早稲田大学を卒業、1983年~四期衆院議員連続当選、1995年~三重県知事二期連続、2003年~早稲田大学教授に就任、マニフェスト選挙を提言、日本新語流行大賞を受賞、2008年~「地域生活者起点で日本をせんたくする国民連合」、略称「せんたく」を立ち上げ代表に就任。
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【 2009/09/07 08:43 】

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